ふたつの指輪

3.

あれからどんな濃い日々を過ごしたのか。



ほぼ一週間ぶりに見る二人は、すっかり普通の恋人同士だった。

その辺で普通にデートしてるカップルと、何ら変わりはしない。




「瞳衣がお世話になりました」


そう言ってにこやかに軽く頭を下げたあいつは、きわだって整った顔をしてはいるけど、その辺にいるただの”兄ちゃん”に見えた。



「何だったら、一緒にメシでも……」


ちょっぴりはにかみながら、俺を誘う。

以前のこの男には、まったく似合わなかったような表情を浮かべて。
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