ふたつの指輪
「にしてもさ、10日も同じ屋根の下にいて、ほんとに何もなかったの?」


中華料理の大皿を3人で突っつきながら。

あいつが口をゆがめてニヤニヤしながら意地悪そうに聞くと、瞳衣は笑って人差し指を立てた。


「だから、そういう発想がやらしいって言ってるの!」

「何だよそれ、男と女がいたら、なんかあんだろ普通」

「尊さんはそういう人じゃないの!

みんながみんな、魁人くんみたいな人じゃないんだから」

「うわ、何だよそれ」


大口を開けてゲラゲラ笑いながら、天を仰ぐ。


「……あ、でも、キスはされかけたかな」


不意になされた爆弾発言に。


「ほら、やっぱりあんじゃん!」

「こら、余計なこと言うな!」


二人の男の声が同時に返されて。
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