ふたつの指輪
あのとき瞳衣を引き返させずに、強引にでも連れ帰ったら?

「あいつまだこっちを見てる」なんて、言わなかったら?

あの曲がり角を曲がらずに、まっすぐ歩いたら?


それとも……


それ以前に、あいつの店に遊びに行くのを何としてでも止めていたら?

あんなことを……してでも。




そうしたら、どうなっただろうか。




数々の、今さらどうしようもない後悔の波が。

寄せては返し、寄せては返し、繰り返し俺に押し寄せて、俺の心をじわじわと侵食してた。
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