ふたつの指輪
「今は魁人くんの部屋に一緒にいるんだけど、近いうちに引っ越そうって話になってるの」


頬杖をついて話す瞳衣の指に。

豪奢な指輪がキラキラ光ってるのに、俺は気付いた。



服も、見たことのない洗練されたものを着てる。

瞳衣は見違えるように大人っぽく見えて、とてもよく似合ってた。


きっとあいつが買ってやったんだ。


「そうか」


俺はうなずく。


「まだ具体的にどうするか何も考えてないけど……もしかしたら遠くに行くかもしれない」


「寂しくなるな」


俺は何とか笑顔で言った。
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