ふたつの指輪

4.

幸せは永遠に続くかと思われて。

俺がほとんどあいつら二人のことを心配もしなくなった頃。


破滅がすぐ先までやってきてたなんて、誰が気付いただろう。





その電話は、仕事中に突然かかってきた。



「尊さん!お願い、助けて!」


電話の向こうは脈絡なく、ただ泣き叫ぶ声。


「今救急車待ってるの、お願い、助けて!!」

「落ち着け、何があった?」

「今すぐ来て!お願い!」

「わかった、場所を言え」



ほとんど意味不明の叫びから、断片的な情報を拾いつつ、俺がタクシーで駆けつけたときは。
< 306 / 331 >

この作品をシェア

pagetop