ふたつの指輪
「ごめんな、こんなことになって……オレ……」


血の気のない、形のよい唇から漏れるのは、力ない、かすれた声。


「大丈夫、きっと助かるから、元気だして、気をしっかり持って!お願い」


瞳衣は祈らんばかりの勢いだった。


瞳衣の手もべっとりとあいつの血に染まっていた。


「魁人のバカ、あたしに何も言わずに、あんな……」


「悪かったよ……瞳衣のために、オレ、金がほしかった」


「何言ってるのよ。

お金なんてどうにでもなるのに……

あたしは、魁人が必要なのに!

どうしてそんなこともわかんないの?」


そう泣き叫ぶ瞳衣に、疲れたように力なく微笑みかける。
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