ふたつの指輪
「あの人、バカよね」
窓の外を見ながら、不意に瞳衣が言った。
「お金なんか、どうにでもなったのに。
……あの人も15歳で家を出てからお金ですごく苦労してたんだ。
だから、自分でも、どうしてそんなにお金を求めてるのかわからないままに、ただただお金ばっかり追いかけてた。
”お金イコール自分の力”みたいに思ってるところがあったの。
だから、いくらあっても不安だったんだね。
――かわいそうに」
「……」
俺は黙って、瞳衣の視線を追いかけた。
二羽の鳥が、近くの木の枝に並んで止まってた。
窓の外を見ながら、不意に瞳衣が言った。
「お金なんか、どうにでもなったのに。
……あの人も15歳で家を出てからお金ですごく苦労してたんだ。
だから、自分でも、どうしてそんなにお金を求めてるのかわからないままに、ただただお金ばっかり追いかけてた。
”お金イコール自分の力”みたいに思ってるところがあったの。
だから、いくらあっても不安だったんだね。
――かわいそうに」
「……」
俺は黙って、瞳衣の視線を追いかけた。
二羽の鳥が、近くの木の枝に並んで止まってた。