ふたつの指輪
「……魁人は、あたしがいないとダメだったから。

半分子どもみたいなものだった。


ママもそうだった。

昔から情緒不安定で、子どものあたしが面倒見てたようなもんだったし。

ママのことも、ずっとあたしがいないとダメだって思ってた。


人間って、なかなか慣れ親しんだパターンから抜け出せないのかな?」


そう言って、俺に向き直ると、寂しげに微笑む。



「そうだと思う。


”住み慣れた地獄”って言葉があるくらいだからな」



俺の言葉に、瞳衣は実感をこめて深くうなずいた。

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