ふたつの指輪
あいつが戻ってくる前、一緒にいた10日間。

瞳衣があいつと俺の間で揺れてるのには気付いてた。



あと2週間……いや、せめて一週間あれば――遠回りしなくて済んだかもしれない。

瞳衣もここまで傷つかずに済んだのかもしれない。



いや――

それでも、無理だったかもしれないな。


俺と瞳衣の間に育っていたのは、穏やかな信頼関係だった。

瞳衣とあいつとの間にあったのは、目もくらむような激しい恋だったから。

すべてを破壊するくらいの、激しい。



でも、すべては済んだことだ。

今さら変えられるものじゃない。



それに、俺たち二人には、未知の未来が残されてる。
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