ふたつの指輪
――会社なんかじゃ、さぞかし目立つんだろうな。



まぁあたしの好みってんじゃないけどさ。


あたしはやっぱり、こんな男オトコした人じゃなくて、魁人くんみたいな、キレイな美少年タイプが……



あたしはちょっぴりどぎまぎしながら、自分のコーヒーカップを手に取った。





静かな部屋で。


お互いのコーヒーがなくなるころ、あたしは急に思い出した。



「あ、そうだ、あのっ」

「……?」


尊さんは、片方の眉だけすぅっとあげて、「ん?」という顔。


「今日の分、日払いでもらったの。

1万円、お返ししますっ」


あたしはカバンをごそごそあさって、財布から1万円札を取り出した。

白いテーブルの上に置く。
< 34 / 331 >

この作品をシェア

pagetop