ふたつの指輪
どうしてあたしみたいな、何のとりえもない人間に声かけてくれたのかわかんない。

でも、どうしてかなんて、恥ずかしくて聞けないし。



そもそも男の人と付き合うなんて初めてで、あたしは常に緊張と不安との隣り合わせ。




でも、半月前から、魁人くんとは顔を合わせてない。

もちろん、それで寂しいからこんなところでバイトしてるんじゃないけど。




……ごめんね、魁人くん。

あたし、魁人くんに内緒でこんなことして。




見回した部屋の内装の”いかにも”な安っぽさが、自分の安っぽさのような気がして。

あたしは何だか悲しくなった。




安っぽい部屋。安っぽいあたし。





プルルルル………


突然インターフォンが鳴って、あたしは飛び上がった。

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