ふたつの指輪
「もう遅い。寝ろ。


シャワーして寝るか?

……着替えがないか。

なんか貸してやる」


尊さんは、壁に埋め込まれたクローゼットを開けて、衣装ケースをあさりだした。


貸してやるって、この人180cm近くあるよ、きっと。

ぶかぶかだってば。


「あったあった、これだ」


女物のパジャマ上下を投げてよこされた。

白地にマルチカラーの水玉の、ずいぶんかわいらしいもの。



(何これ……)



「これって、彼女さんのパジャマじゃないんですか……?」

「違ぇよ、気にすんな。新品だ」


……ほんとかな?

そういや、さっきのマグカップ、おそろいだった。


でも、触った感じでは、確かに新品ぽい。
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