ふたつの指輪
あたしは言われるままに、カゴに必要なものをポイポイ放り込む。


クレンジング、化粧水、歯ブラシ、下着。靴下。


……こんなもん?



飲み物を物色してる尊さんにカゴを渡す。


「なんだ、たったこれだけでいいのか?」


尊さんはお茶やビールの缶やら、いくつか飲み物を詰め込むと、レジに向かった。





部屋に戻ると、尊さんは開口一番言った。


「シャワーして寝ろ」


一瞬ためらうあたしに、ニッと口元だけで笑う。


「誰も覗きやしねぇよ」


……そういう心配、してるんじゃないんですけど。


「中から鍵掛けられるから安心しろ」


はいはい……。

あたしは心の中でぺろっと舌を出した。
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