ふたつの指輪
「連絡取れないって、山だから携帯通じないのか」
「うん。
ペンションの電話番号は教えてくれたけど、業務用の電話だし、そうそう掛けられないでしょ?」
「ああ……なるほどな」
また、顎をさすってる。
「そいつが戻ったら、そいつの家に転がり込めるのか?」
「……魁人くん、実家に住んでるんだって」
「………」
眉を片方あげて、”なんだそりゃ”とでも言いたげな顔をすると。
突然Uターンして婦人服フロアを後にした。
「……どうせ制服が要るなら、おまえん家に取りに行った方がいいな」
ショッピングモールの駐車場で車に乗り込むと。
尊さんはハンドルに肘をついて、思案げに長いことじっと前を見てた。
眉を寄せて難しい顔をして、無言で唇を噛んで。
(――?)
黒いまっすぐな髪がだらりと前に落ちるのを、手で鬱陶しそうにかきあげながら。
「うん。
ペンションの電話番号は教えてくれたけど、業務用の電話だし、そうそう掛けられないでしょ?」
「ああ……なるほどな」
また、顎をさすってる。
「そいつが戻ったら、そいつの家に転がり込めるのか?」
「……魁人くん、実家に住んでるんだって」
「………」
眉を片方あげて、”なんだそりゃ”とでも言いたげな顔をすると。
突然Uターンして婦人服フロアを後にした。
「……どうせ制服が要るなら、おまえん家に取りに行った方がいいな」
ショッピングモールの駐車場で車に乗り込むと。
尊さんはハンドルに肘をついて、思案げに長いことじっと前を見てた。
眉を寄せて難しい顔をして、無言で唇を噛んで。
(――?)
黒いまっすぐな髪がだらりと前に落ちるのを、手で鬱陶しそうにかきあげながら。