ふたつの指輪
「あの、あたし……」


ためらいがちに切り出す。


「何だ」


「ここにいさせてもらって、いいの?」



「……」


尊さんは、無表情であたしをちらっと見た。



「他に行くあてでもあんのか?」

「……ない」

「なら、ここにいろ」


そう言って、またビールをぐびっと飲む。


とてもそっけないけど、尊さんの言葉はじんわりとあたしの胸にしみた。




ちゃんと居場所があるって言ってもらえるのは、やっぱりうれしかった。


自分の家にいるときも、居場所があるんだかないんだか、よくわからなかったから。
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