ふたつの指輪
「そそそんな、まだまだ同棲するような仲じゃ……」

「……ん?」


あわてるあたしに、怪訝そうに目を向ける。


「あたしたち、まだそんな感じじゃないから……」

「え?まだそこまで行ってない?」

「うん」


って、”そこまで”って、何だろ。


(わわわ)


考えて、また脳が沸騰しそうになる。


「……そうか」



しばらくして、ふと思いついたように聞く。



「……そいつ、どんなヤツ?」

「え?魁人くん?」

「ああ」


「えっとね、D大学の3年だって。

あたしのバイト先の喫茶店にお客さんとして来てて、それで知り合ったんだけどね。


見た目はね……少女漫画からそのまま出てきたみたいな感じで、やさしくてカッコイイ人」
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