ふたつの指輪
尊さんは、あきれたように、軽く肩をすくめると。


人差し指を立てて、あたしをまっすぐ差して、一言ひとこと、はっきり言った。



「……そういうことこそ、共有すべきことなんじゃないのか?」


「……」


「そんなに自分飾ってどうする……ガキの恋愛だな」


フッと皮肉げに笑う。


「……」



むぅ。


痛いところをぶすりと突かれて、あたしは思わず口をとがらせた。




……そうだよね。


あたしだって、何でも話して、何でも共有したいよ、ほんとは。



だれかにわかってほしい。

理解してほしい。


でも、引かれるんじゃないかなんて思っちゃうから。




あたしの内面を覗かれると、愛されるに値しない、薄っぺらなくだらない人間だっていうのが、バレてしまう気がして。
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