私の夢と、彼の事情
「咲! ノック、ノック」

そう言った私だが、自分で言っておいて、
ちょっとゾッとした。

誰もいない小屋の中から、ノックだけが
返ってくるところをイメージしてしまっ
たのだ。

咲は、はあ? あんた何言ってんの? 
といわんばかりの顔を私に向けて、ノッ
クなどはしなかった。

咲は「開けるよ?」と言いながら、同時
にギイ・・と開けている。それじゃ私に
確認する意味ない。

私はもはや逃げもできず、心臓をバク
バクさせながら咲の後について小屋に
入った。



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