私の夢と、彼の事情
「・・そうだね。

 寂しかった、かな?」


幽霊は、口元に笑みを浮かべてそう
言った。

私は彼になんて言葉をかけていいのか
分からずに、視線を床に落とす。



しばらくの沈黙が、流れた。

先に沈黙を破ったのは、言葉を捜して
いた私ではなく、どことなく悲しい顔を
している彼の方だった。



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