私の夢と、彼の事情
佐奈は、

「そんなの昔のことじゃない! おじい
 ちゃんとおばあちゃんを助けるため
 じゃない!」

と食い下がったが、美少年は、

「俺の恨みは別としても、俺は兄さんを
 巻き込むのは反対だ。下手すると邪魔
 されかねないよ。

 兄さんが今、京都のネコ界と友好的
 なのか、敵対的なのかも分からないん
 だから。

 もし京都と友好的だったらどうする
 んだ? 君にはそんなこと聞き出せ
 ないだろう?」

と言って、首を縦に振らない。

「君は夏休みになったら、猫の姿の俺を
 キャリーバッグに入れて、京都まで
 運んでくれればいいんだ。
 
 後は俺がやるよ」

幽霊がそう宣言して、この夢は終わった。
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