私の夢と、彼の事情
佐奈は起きた後、夢の大半を覚えていた。

幽霊は夢の中で、京都への旅費は俺が
出すから、とも言っていた。

佐奈はその夢を見た後、1学期の間、
京都について本を読んだり、テレビで
見たり、

または猫に関する本を読んだり、猫と
会話したりして過ごした。


夏休み。

友達と何人かで何日か海に行くから、と
無理やり両親をごまかした佐奈は、

一人で小屋を訪れ、灰色の猫になった
幽霊を黄色いキャリーバッグに収めた。

「君は今日の新幹線で京都に着いたら、
 2日だけ遊んで待っていてくれ。

 帰りを運んでもらわなければならない
 からな」

青い目に決意を秘めた猫が言う。



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