私の夢と、彼の事情
「急ぐから」と彼女に別れを告げると、
私は足を速める。

バサバサという音と共に、彼女は青い
空へと羽ばたいていった。

古びた小屋の前にたどり着いた私は、
なんの躊躇もなくそのドアを開く。

中には、私のよく知る、青い服の少年が
いた。

「いらっしゃい、待ってたよ」

柔らかい声で、その人は言う。

その声を聞くと、なぜだか自然と頬が
緩んだ。

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