私の夢と、彼の事情
「もう、準備はできている?」

「あぁ、できてるよ。

 元々、持っていく荷物なんて何もない
 からね」


彼はそう言うと、私の方に歩み寄り心底
不安そうな視線を向ける。

「でも、本当に大丈夫かな?

 色々と不安な点があるんだけど」

「大丈夫だよ!

 二人とも同意してくれているし・・
 ね?」

私の言葉に彼は、「そうだね」と言って
笑った後、幽霊から猫へと姿を変え、
私にすり寄ってきた。

そんな彼を抱きあげ、私はドアの外へと、
一歩踏み出した。


「それじゃあ、行こうか。

 私の家に」
< 80 / 91 >

この作品をシェア

pagetop