手のひらの脳
16歳
朝がくる
カーテン越しに朝の青白いおぼろ気な光が見える。
つけられたテレビにはクラシックをBGMにした外国の田舎が流れている。
板山稜子。16歳。引きこもり。
早く目が覚めた訳ではなく昼と夜が逆転しているのだ
朝に眠り、夕方に目が覚め、パソコンに向かう。
ネット上では罵る祖父母、父がいない。唯一の落ち着く場所。
「ブタは飯食うな」
「キチガイ」
「お前も汚い血が流れている」
家族からの言葉に死にたくなった。
ただ家にこもっているだけの自分が嫌で、でも怖くて出られなくて、家族からも嫌われて、部屋を出るのも怖くなった。