a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


「あれでしょ?楡先生が拾ったんでしょ?」

「そうなの〜!?意外!」

「何気優しいんだ〜」


クラスの女子も数人一気に会話に入ってきた。

それぞれ皆、睫毛が重そうだ。

何を付けているのか、五月女にはわからなかった。


「あのね、清香《サヤカ》ぁ〜、近くに超若い人住んでてぇ〜。なんかぁ、彼氏に逃げられたらしいんだよね、その人」


妙に鼻に掛かったような、鈍い口調で話すのは、茶髪を高い位置でツインテールにしている角谷《カドヤ》清香。

女子のなかでもリーダーのような存在で、いつも何人かで群れのように行動している。

見た目は少しアレだが、五月女は彼女の内に秘めた優しさを知っているので、別に嫌悪感は抱いたことは無い。

それより、その話が気になった。


「若い人?」


つい、続きを促してしまう。

もしかしたら、慶一の母親かもしれないと、心のどこかで思ったから───……





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