a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



しおりは、泣き止んでしばらくすると、本郷の膝の上から慶一を抱き上げた。


「ごめんね、慶一。私、あなたの為とか言いながら、あなたから逃げてた。
今日からは、ずっと一緒。
私があなたを守るから……」


…それが………



       母親だから………


その様子を見たメンバーは、安心したように微笑んだ。自分達のした事が、正しいことだったんだと、実感したからだ。

慶一も、母の温もりを覚えているのだろう、嬉しそうに両手を広げた。


その時、楡がビニールの袋をしおりに差し出した。


「これ、体育の菊枝先生から。覚えてるだろ?当時のおまえの担任だよ」

「先生が………?」


しおりは驚いたように目を見開いてから、袋の中を覗き込んだ。そして、また瞳を潤ませた。


「慶一の中に、お前の面影を見たそうだ。一緒に卒業は出来なかったけど、お前は菊枝先生の生徒だからな」


しおりは慶一に顔を埋めて再び泣いた。


袋の中には、粉ミルクの缶が三つと、何種類かの離乳食が入っていた。





< 121 / 313 >

この作品をシェア

pagetop