a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
しおりは、泣き止んでしばらくすると、本郷の膝の上から慶一を抱き上げた。
「ごめんね、慶一。私、あなたの為とか言いながら、あなたから逃げてた。
今日からは、ずっと一緒。
私があなたを守るから……」
…それが………
母親だから………
その様子を見たメンバーは、安心したように微笑んだ。自分達のした事が、正しいことだったんだと、実感したからだ。
慶一も、母の温もりを覚えているのだろう、嬉しそうに両手を広げた。
その時、楡がビニールの袋をしおりに差し出した。
「これ、体育の菊枝先生から。覚えてるだろ?当時のおまえの担任だよ」
「先生が………?」
しおりは驚いたように目を見開いてから、袋の中を覗き込んだ。そして、また瞳を潤ませた。
「慶一の中に、お前の面影を見たそうだ。一緒に卒業は出来なかったけど、お前は菊枝先生の生徒だからな」
しおりは慶一に顔を埋めて再び泣いた。
袋の中には、粉ミルクの缶が三つと、何種類かの離乳食が入っていた。