a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



──……


こうして、捨て子騒動は幕を閉じた。

aucメンバーは、軽くなった背中を見て何となく寂しげに溜息を吐く。お騒がせな親子だと思いながらも、命の大切さを身近に触れた。

明衣は、さり気なくこの部活は奥が深いなぁと唸る。


「何だかんだ言って、楠木《くすのき》先生の言う通りだったわね」


不意に、本郷が軽い足取りで歩きながら口を開いた。またこの人は、いつもいきなりなんだから、と明衣は苦笑してしまう。

ちなみに、楠木とは慶一のお世話をしてくれた保健医だ。


「……どういうこと?」


何のことかわからない明衣は、怪訝そうに眉を寄せた。本郷はクスクスッと笑い、明衣の眉間の皺を押し潰す。


「慶一も、しおりさんも、お互いを思い合ってたじゃない。
先生はあの時、『子供は本能で本当の母親を求める』って言ってたでしょ?

本当に、その通りだなと思って」


そう言って笑う本郷は、いつもより嬉しそうだった。


「……親子ってすごいなぁ」


思わず明衣は呟いていた。





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