a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
明衣はその写真を眺めてから、少しだけ淋しそうな表情を浮かべた。
──何だか懐かしい……
今、明衣の両親は教師という職業のせいか、家を開けていることが殆どだ。二人とも責任感が強いので、生徒を思っての行動なのだろうが、明衣は頭でわかっていても、やはりどこか淋しかった。
「………」
無言でその写真を眺めていれば、不意に頭に重量を感じた。
驚いて顔を上げると、隣で同じように写真を眺める楡の姿があり、いつの間に入ってきたのかと明衣は目を丸くした。
頭に感じた重量は、楡の骨張った手だった。そのまま、ポンポンと頭を撫でられ、その手付きに思わず目を細める。
優しくて、暖かい………
しかし、素直になれない明衣は、プイッと口を尖らせてしまう。
「何よ、いつ入ってきたわけ?」
「さっき。皆騒いでたから、気付かなかっただけでしょ」
楡は無表情で答える。手は、相変わらず明衣の頭に添えられた儘だ。
「………何、よ」
明衣がその手を掴むと、楡はからかうような口調で、答えた。
「ちょうど良い位置に、あったから」
明衣は、「あっそ」と言いながらそっぽを向いた。
本当は、嬉しくて楡に甘えたくなったけど、そんなの気のせいだと頭に言い聞かせた。