a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


楡に気付いた五月女と本郷は、いつものようにこんにちはー、と声を合わせる。
楡はそれに対して、軽く返事をするだけだ。

そこで、五月女が嬉しそうにしおりからの手紙を見せた。


「エヘヘー、手紙ですよ!先生」

「ん、見りゃわかる」


ハイテンションの五月女に対し、かなりのローテンションで答える楡。構わずに五月女は言った。


「ほら、こんなに皆幸せそうですよ!やっぱ子供は愛されるべきだぁ〜」

「……そーだな」


楡は小さくそう答え、しおりの手紙の字を目で追っていた。その時、ある一行を読んで眼球の動きが止まる。

それに気付いた明衣が、訝しげに眉を寄せた。


「何?」

「……………いや」


明衣の問いにも、楡はただ小さく呟いただけだ。

明衣が怪しいものを見るように目を細めたとき、五月女が威勢よく手を挙げた。


「とゆーわけで先生!何か食べに行きましょう!」

「………どーゆーわけでそうなったの?」


心底嫌そうな楡。


「俺達もまだ愛されるべき子供だからでーす」

「あ、そーだそーだ!なんかおごれ!公務員儲かってんだろ!」


五月女に続き明衣が手を挙げる。本郷も目で訴えている。

楡は溜息を小さく吐くと、「1人500円以内」とだけ言って、部室を出ていった。


「やったー!」と歓声を上げながら、三人も彼の背中を追って部室を飛び出したのだった。





【段ボール・ベビー】完





< 126 / 313 >

この作品をシェア

pagetop