a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
楡に気付いた五月女と本郷は、いつものようにこんにちはー、と声を合わせる。
楡はそれに対して、軽く返事をするだけだ。
そこで、五月女が嬉しそうにしおりからの手紙を見せた。
「エヘヘー、手紙ですよ!先生」
「ん、見りゃわかる」
ハイテンションの五月女に対し、かなりのローテンションで答える楡。構わずに五月女は言った。
「ほら、こんなに皆幸せそうですよ!やっぱ子供は愛されるべきだぁ〜」
「……そーだな」
楡は小さくそう答え、しおりの手紙の字を目で追っていた。その時、ある一行を読んで眼球の動きが止まる。
それに気付いた明衣が、訝しげに眉を寄せた。
「何?」
「……………いや」
明衣の問いにも、楡はただ小さく呟いただけだ。
明衣が怪しいものを見るように目を細めたとき、五月女が威勢よく手を挙げた。
「とゆーわけで先生!何か食べに行きましょう!」
「………どーゆーわけでそうなったの?」
心底嫌そうな楡。
「俺達もまだ愛されるべき子供だからでーす」
「あ、そーだそーだ!なんかおごれ!公務員儲かってんだろ!」
五月女に続き明衣が手を挙げる。本郷も目で訴えている。
楡は溜息を小さく吐くと、「1人500円以内」とだけ言って、部室を出ていった。
「やったー!」と歓声を上げながら、三人も彼の背中を追って部室を飛び出したのだった。
【段ボール・ベビー】完