a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
ep3*心音─ココロネ─
〜♪
「あ、その歌知ってる」
部室では、本郷が奏でるギターの音と、彼女の控えめな歌声がBGMとして流れていた。
そこで不意に、明衣がソファーに横たえていた上体を起こして、本郷の方に頭を向けた。
「スピッツの、チェリーでしょ?」
「あったり〜」
ニッコリ笑って、本郷はネックから左手を離し、解放弦の音を右手で止めて、スタンドに慣れた手つきで立て掛けた。
明衣はその一連の動作を見て、ふと呟いた。
「先輩、ギター上手なんですね。歌もうまいし」
それを聞いた彼女は、クスッと可愛らしく笑った。
「煽てても何も出ないわよ?でも、ギターと歌は好き。小学校の頃くらいから、興味本位でいじってたの」
「あたし、楽器は全然だからなぁ…」
明衣は時々美帆子が休み時間に眺めている部活の楽譜を思い出す。あんなもの、どうやって解読するのだろうと、いつも思っていた。
「ふふ、楽しいわよ」
本郷はまた美しく笑った。