a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


その女子生徒は俯いたままで、ソファーに座るように促されても、何処か怯えたような様子で恐る恐るそこに腰掛けた。


その様子を見た五月女は苦笑する。



「そんなにビビんなくても…別に怖い部活じゃないから…」


「わ、解ってるんだけど…私、すごく引っ込み思案で…いつもウジウジしてるから、周りからも冷たくされちゃって……」



女子生徒は固い笑顔を五月女に向け、困ったように答えた。

明衣はそれを聞いて、何となくわかるな、と頷く。



明衣はどちらかといえばサバサバしていて、いつもリーダーシップを発揮して人を引っ張るタイプなのだが、こういった引っ込み思案でウジウジしてるタイプは合わない。


イライラとストレスが溜まってしまうのだ。



「大丈夫。何を依頼しに来たの?名前と学年、組を教えてね」


本郷が柔らかな口調で尋ねると、安心したのか女子生徒はポツリポツリと話し始めた。



「名前は、城ヶ島桃子『じょうがしまももこ』。三年のA組。私、さっきも言ったけどすごく周りに鬱陶しがられてて、そんな自分が嫌で………だから、変わりたいの」


すると、城ヶ島は握り締めていたプリントを机に置いた。



「あたしと一緒に、出場してください!」



そのプリントは、バンドコンテスト出場申込書だった。





【心音─ココロネ─】






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