a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
曲が終わり、シーンとした空気になると、さすがにいつもは場の空気をぶっ壊す五月女でも、呆気に取られている様子であった。
城ヶ島の意外な一面、彼女の作った曲のレベルの高さ、全てのパートにソロが割り当たっているプレッシャー。
全員凍り付いたかのように楽譜を見ている。そんな中を、心配そうに眉を下げた城ヶ島が居心地悪そうに座っている。
──無理だよ、あたしリズム感ゼロだし……!先輩のソロとのハモリ何か出来るわけが有るかァアァ!!1ヶ月で初心者にどんだけ技術求めてんだァアァア!!
明衣の心の中はハリケーンのようにツッコミの嵐が巻き起こっている。
重い空気を破ったのは、やはりMr.ぶっ壊しの五月女だった。
「ま!なるようになりますよ!俺、ベースでナウシカ弾けるようになりましたから!」
「何練習してんだァア!ってΣΣ!!上達早ッ!!」
いつもの乗りでツッコミを入れた明衣であったが、彼の上達の速さに眼球を飛び出させる。
「まずは慣れるのが大事かと思って、ネットで探して頑張ったんだ!おかげで指に軽く水脹れが!」
「どんだけ頑張ってんの!?」
「トトロとかもあったから今日はトトロにしようかな♪」
「バンコンの曲やれよ!!!!」
抜けた五月女に、明衣の鋭い野獣のごとくツッコミが入る。
城ヶ島はそれを見て、まるで勢い任せのお笑い芸人の漫才のようだと思った。