a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
本郷はそんな二人を見ながらも、ソロの難しさに眉を寄せた。そして、明衣と五月女の漫才(?)を見ながら、クスクス笑っている城ヶ島に声を掛けた。
「城ヶ島さんの曲、凄いわ。下手なバンドスコアなんかよりもずっとレベル高い」
すると、城ヶ島は照れ臭そうに笑った。そして、肩に触る程度に伸ばされた髪を指先で摘むようにイジリながら、苦笑混じりに答えた。
「そんなこと無いよ。ただ、書きたいことを書いたらああなったの。メロディも、勢いで決まっちゃったみたいな感じだし」
「ううん、これは才能だわ。テレビに出てる下手なアーティストよりずっと良い曲よ。これなら、あなたの凄さを見せ付けて、クラスの連中を……いや、学校の皆を見返せるわ」
力強い言葉に、城ヶ島は少し驚いたように目を見張ってから、やがて柔らかく微笑んだ。
「ありがと、本郷さん」
「蘭で良いわよ」
「……え?」
本郷はにっこりと笑いながら、城ヶ島に言った。案の定、城ヶ島は口をポカンと開けている。
「呼び捨てで良いわ。本郷さんって長いじゃない」
「……うん、わかった。そしたら、私のことも桃子って呼んで」
「……ふふ、判ったわ」
ギャーギャーと子供じみた言い争いをする二人の傍らで、確かな友情が芽生えていた。