a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
翌日、一人で登校するのは心細かったので、昨日仲良くなった結城と一緒に登校した。
校門には教師が一人立っていて、挨拶をしながら服装や頭髪を指摘していた。
何人か引っ掛かったのか、舌打ちをしながら歩いている。
「お早うございます」
「おはよーございまーす」
ロングヘアーの美人な女教師に挨拶されたので、二人も通り過ぎざまに挨拶を返した。
玄関に入り、下駄箱から靴を取り、顔を上げると、そこにも教師が立っていた。
金髪にブルーグレーの瞳。
「楡………」
だったか、と呟きかけて、言葉を切った。
そして、尋ねていた。
「あの………それ……」
本郷の視線の先に気付いたのか、楡は、口元に貼られた絆創膏を撫でながら、「ああ、これ?」と他人事のように言った。
そしてまた無表情で同じように続ける。
「昨日三年の何人かに絡まれてな……まぁ無理も無いが」
「えっ。大丈夫なんですか?」
結城が話に入ってくる。楡は、実は密かに女子に人気があるのだ。
「特に問題は無いが……醤油はしみるかもな」
そう言いながら、楡は首を傾げた。
「ま、気を付けな。何があるかわかんないし、特に一年は」
「はーい」
見た目はアレだけど、悪い人ではないのかな、と本郷は思った。