a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
ep4*小さな復讐者
雨が降っていた。
重そうな鉛色の空から、吐き出すように重く水が滴り、街を、人を、苛立ちをぶつけるかの如く叩き続ける。
そんな空を、楡は眺めていた。
──雨は、嫌いだ。
油断していると、あの日を思い出してしまうから。
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──●●●兄ちゃん……?
明衣の目の前には、ずぶ濡れの少年が立っていた。
色素の薄いそれは、すっかり濡れてより儚さを強調させているようで。
ああ、これは夢なのだと。
雨の日によく見る、例のあの夢だと。
ぼんやりと靄のかかる頭の中で、そう明衣は理解した。
少年の名は思い出せない。
ただ、物心ついた頃の記憶に、小さく残っているのだろうそれは、何故か高校に入ってから、急にその存在を強調し始めた。
──雨は、嫌いだ。
思いだせそうで、思い出せない。
モヤモヤして、気分が悪いから。