a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜








人通りが少ないはずのそこに、賑やかな赤い光が点滅していた。

どこか穏やかな表情でパトカーに乗り込む井野坂と吉成は、遥か遠くの、その先を見ているようだった。

楡は芳三と何やら話してから、メンバーの所に戻ってきて、赤く泣き腫らした基の頭を撫でた。


「よく、頑張ったな」

「………う、」


骨張った大きな手に撫でられ、基は言い表わせない安心感と包容感に包まれて、再び目に熱が集まるのを感じた。

そのまま楡にしがみつくと、薄い胸板に顔を押しつけて泣いた。

明衣、五月女、本郷は、何やら珍しいものを見るような目でその光景を見ていた。



雨は、いつの間にか止んでいた。









< 239 / 313 >

この作品をシェア

pagetop