a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



明衣は規則正しく刻まれる、窓を叩く雨音を聞きながら、父の帰りを待っていた。

部屋には麻衣も一緒にいた。

おそらく、先程から鳴り響く雷を、明衣が怖がるからだろう。


「もうすぐ帰ってくるからね」

「うん」


明衣はベッドの脇にあるぬいぐるみを動かしながら、不安そうに窓の外を眺めた。

灰色の鉛のような空からとめどなく雨が降ってくる。

まるで涙のようだと、小さな子供の素直な感性のもと、そう思った。


「そら、泣いてるね」


明衣が小さくそう言うと、麻衣も小さな声で、「そうだね」と答えた。


その時、玄関の方からガタガタと物音がし、父の「ただいま」が聞こえた。


明衣はそれを聞いた瞬間、ぬいぐるみを放り投げて部屋を飛び出した。

麻衣はやれやれとその後に続く。


「お帰りなさい!」


明衣は叫びながら階段を駆け降り、玄関に立った。





そこで、彼に出会った。






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