a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
やっぱり戸惑っているではないか、と恨めしそうに沚は隣に立つ男を睨んだ。
男は自らを翔太と名乗っていた。
彼は娘の自慢を延々とこの道を来る途中に話していたので、ちらりと見えた彼女達がそうなのか、と沚は一人納得した。
「……やっぱり帰ります」
何となくこの温かい、自然な安心感のある家に踏み込むのは気が引けて、沚は小さな声で翔太に言った。
すると、翔太はふっくらと肉の付いた大きな手を大袈裟に振った。
「ダメダメ! こんな土砂降りの中傘も持たずに歩いてたでしょ、君! 今日は何があっても泊まってってもらうよ。もう夜も遅いしね」
「……でも、迷惑だし」
「そんなこと無いってば! 皆ちょっとビックリしてるだけ。明衣に至っては、ちょっと人見知りなんだよ。ほんとは人懐っこくて可愛いんだよ!」
食い下がって帰ろうとすると、再び娘自慢に花が咲きそうだったので、おとなしく言われるがまま靴を脱いで、フローリングの床に足を付けた。