a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
一人分の隙間を開けて、塗装の剥げた木のベンチに座る。ギシッ、と軋むそれに、沚は眉を寄せた。
男は沚に気付くと、焦点のあわない瞳をこちらに向けてきた。
そして、上から下まで見つめると、乾いた唇から言葉を発した。
「君、学生?」
「まぁ。一応義務教育の真っ盛りですけど」
短い質問に、沚も素っ気なく答えた。男は訝しげに顔をしかめると、まるで小さな子供にそうするように、説教するように言った。
「学校行かなきゃダメじゃないか。何してるのさ、こんな所で」
沚は表情を変えずに男から視線を逸らすと、剥がれた塗装が背中に付くのも構わずに背もたれに体重をかけた。
「アンタこそ、この時間帯は一生懸命仕事してるはずじゃないの」
何気なくぶつけられた言葉に、男はギクリと肩を震わせた。すっかり立場が逆転してしまったように、男は背中を丸め、しぼんだ風船のように小さくなった。
「俺……今の仕事、向いてない気がして………」
「……………」
これはまずい。
男は語りモードに入ったのか、ブツブツと何か、仕事のことを話し始めた。