a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜


* * * *




話を聞き終える頃には、さっきまで賑やかに遊んでいた子供の姿も無くなり、噴水が水面を叩く音と、車のエンジンがBGMのように鳴り響いていた。

話を聞いてわかったのは、彼は源芳三という、地元の刑事だということだった。
最近は一度拘束した現行犯に逃げられたり、報告書の提出を忘れたりと、上司に叱られることが増え、すっかり自信を喪失してしまったらしい。

公園で出会ったばかりの、しかも本来なら昼間は勉学に励んでいるはずの学生に、冴えない自分の身の上話をする程だ。相当精神的に堪えている。

更に、「もうやめたほうが良いかも」等と背中に影を背負いながら呟いていた。これは一言二言で終わらせられる空気ではなかった。

仕方無しに、沚は黙って話を聞き、咀嚼するように考え込んでいたが、やがてポツリポツリと口を開いた。


「……源さんは、どうして刑事になろうとしたんですか」

「え……」


呆気にとられたように目を丸くする芳三に、沚はもう一度問い掛けた。


「何で刑事になろうとしたんですか。何か理由があるから、なったんでしょ」

「………それは……」


芳三は言いずらそうに口籠もると、歯が生えたての子供のように口元をモゴモゴさせ、やがて言った。



「夢だったんだよね、子供の頃からのさ」






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