a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
芳三はそんな小さな沚の表情の変化に気付いたのか、小さく笑うとワシワシと沚の頭を撫でた。
「何びっくりしてんの。当たり前だろ、義務教育なんだよ? 君のまわりの大人が働いて稼いだお金で勉強してんの。ちゃんと卒業してそれなりに大人にならないとダメだろ?」
「……大人が…」
ぼんやりと芳三の言ったことを呟く沚に、芳三は力強く頷いた。
「そ。俺のお金ももちろん含まれてんだからね!」
さっきまで挫けていたくせに急に偉そうになった芳三に、訝しげな眼差しを向けながら、沚はやがて小さく溜息を吐いた。
「……何か、馬鹿馬鹿しくなった」
「…?」
「人を憎んだりしても、何も始まんないんだってわかった」
沚はベンチから立ち上がり、服に少しだけ付着した塗装の欠片を軽く払うと、芳三に向き直った。
「さんきゅ、オッサン。そうだ、記念すべき友達100人作ろう計画の、第一友達ってことにしよう」
「何それ!? 白昼堂々学校サボって何してんの君!?」
白目をむいてツッコミを入れた芳三に、沚は小さく笑った。
そして、ある事を決意した。