a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
*繋がる現在(いま)*
* * * * *
aucのメンバーは、沚の話を聞きながら、いつの間にか俯いてしまっていた。
彼の薄暗く悲しい過去を聞いて、何となく彼に近寄りがたくなってしまったのだった。
しかし、明衣は一人すっきりした表情で、沚の手をゆっくりと取った。そして、目を伏せて何処か切なげに呟いた。
「……沚兄ちゃん…」
「…明衣、ちゃん…」
沚も、言葉を覚えたてのロボットのような口調で、明衣の名前を呼んだ。
しかし、しんみりとしたのも一瞬で、明衣が悪戯っぽく微笑んだ。
「…フン、あの時の約束をちゃんと守ったってわけ」
「…ちゃんと教師になりましたけど何か」
沚は無表情ながら愉快そうに言い返す。
すっかり蚊帳の外になりつつある五月女と本郷は、二人で並んで歩きながら苦笑した。
「おかえり、沚兄ちゃん」
「…うわ、10年振り?」
沚は怪訝そうに眉を寄せながらも、やがて柔らかく微笑んだ。
「ただいま、明衣ちゃん」
沈みかけた夕日を背景に、事件は幕を下ろしたのだった。