a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
ep5*最後の依頼
季節は吹っ飛び、カレンダーを高速でめくった結果、あたり一面は白い粉雪で包まれ、制服もいつの間にか重装備になっていた。明衣は無意識にマフラーを口元まで引き上げながら、かじかんで赤くなった指先をセーターの袖にしまい込んだ。
「……う〜、寒………」
アスファルトに薄く覆いかぶさった、パウダーシュガーのような雪を、最近買ったばかりのムートンで掻き分けて、凍てついた校門をくぐりながら、明衣はすっかり裸になってしまった木々を見つめた。
季節は冬。どうせこの雪はすぐにでも溶けてしまうのだろう。明衣は少し淋しく思いながら、ムートンの先を濡らす雪を払った。
「明衣ちゃん、おはよう」
「……おはようございます」
上靴を履いて廊下に出ると、同じく重装備の本郷が声をかけてきた。先程来たばかりなのだろう、鼻先が赤くなっている。明衣も挨拶を返しながら、外との気温差で流れ出る鼻水をすすった。
一足先に前を行く本郷の背中を見ながら、明衣はふと思った。
──そう言えば、あと少しで先輩は学習期間に入って……
──学校に来なくなるんだっけ……