a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
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美帆子は数日後、再び部室を訪れ、友人からの許可が下りたことを部員に告げた。
「むしろ、こっちこそよろしくって」
「そうと決まれば、今度は桃子と交渉しなきゃね!」
美帆子の言葉を聞いた本郷は、携帯電話を取り出し、何やらメールを打ち始める。明衣が不思議に思っていると、やがて部室のドアが開いた。
「み、みんな久しぶり…」
そこから顔を出したのは、今や時の人とも呼べる桃子だった。どこか嬉しそうな顔をした彼女は、本郷から今回の件を聞いて、快く頷いた。
「そういう事なら協力するよ。ただ、事務所にバンドの要請は出来ないかも。急だし…」
「それなら大丈夫よ。私達で演奏するから」
「何勝手なこと言ってんですか!」
勝手に話を進める本郷に、明衣は待ったを掛ける。
「桃子先輩ってばミニアルバムも出して、学祭の時とは比べものにならないくらいたくさん曲出してんですよ?それをうちらが今から練習って……」
「良いじゃないの。せっかく良い楽器買ったのよ?部屋のオブジェにするのはもったいないでしょ?」
強引な一面のある本郷の性格を思い出し、明衣は言葉に詰まる。そういえば、彼女は依頼に対して並々ならぬ熱意を持った先輩だった。
また水ぶくれかぁ、と明衣は溜息をついた。