a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
*冬の花火と僕らの夢*
本番目前。
バンドの練習にも熱が入っていた。
「先生、そのサビの切り替えのハイハット→スネアでモタついてます」
「あー…ここね…」
桃子の指導は、教師だろうが容赦なく入る。楡は苦い顔をしながら、確認するように同じ場所を何度も叩き、練習した。
「あと、五月女くん。8分休符、8分音符、8分休符、8分音符のところ。裏でプル入るところ、頑張って」
そこ、目立つからね。
と念を押され、五月女は苦笑してしまった。テンポが速いためなかなか成功率が低かった。
「ギターはミュートしてるときの粒を揃えて下さい」
「はいはーい」
明衣と本郷ももちろん指導され、やはり苦笑い。
「じゃあもう一回通そう!」
「おっけぇ〜」
ドラムスティックのカウントのあとに、ギターやベースが入り、イントロを奏でる。
バンドコンテスト以来のその楽しさに、明衣の表情は自然に柔らかいものになっていた。