a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
続いて、吹奏楽との合同練習。
aucメンバーも、前回の練習で指摘されたことを改善し、臨んだ。
「サックス、ペット、出すぎてるね。ちょっと抑えようか」
吹奏楽部顧問が指揮棒を軽く振りながら、指示を出す。部員たちは歯切れの良い返事をして、楽譜に何かを書き込んだ。
「どう?桃子さん、歌いやすい?」
顧問の質問に、桃子は頷く。
「じゃあこの強弱で行こう。もう一回ここから通して、最後に頭から下さい」
時折五月女や楡が間違えて、吹奏楽部員の笑いを誘った。
「もう俺年だから…」
そのたびに楡はそう言い訳した。
しかし、普段の無気力な雰囲気とのギャップが女子の部員の人気を集め、休憩時間に取り囲まれていた。
その様子を面白くなさそうに見つめる明衣の姿を見て、本郷と桃子が顔を見合わせて笑った。
「ほんと、素直じゃないよね」
「そうね」
ただ一人、五月女は不思議そうに首を傾げるだけだった。