a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
募金箱を片手に会場内を歩いていた赤坂姉妹は、ライブが始まったことに気が付いて足を止めた。
「あ、始まったみたいだよ」
麗がそう言うと、華も立ち止まって耳を澄ますように目を閉じた。
「手術費くらい、私たちが出すのにね」
「良いじゃない。お金じゃ生まれない結びつきもあるのよ?」
口を尖らせて不満そうに漏らす麗に、華は苦笑する。
確かに、麗が周りに心を開くようになったのは、お金の力ではないことは、彼女自身がよくわかっていた。
そして、他人のために一生懸命奔走するaucメンバーのことも。
「色んな人を巻き込んで、一人の人を助ける。aucの人たちって、そういう楽しみ方を知ってるのよね」
「事実私たちも巻き込まれてるからね。沚さんに言われたらなんか、ねぇ…。断れない」
頬を赤らめ、困ったように首を傾げる麗に、華は目を丸くする。
「……麗ってかなりの年上好きなのかしら……?」
「何、なんか言ったぁ!?」
二人は募金箱を仲良く抱え、再び歩行者天国を歩き始める。
確実にその箱は重さを増していた。