a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜



ステージの上からの景色は、バンドコンテストの時の薄暗い室内とは違い、観客の一人一人の顔を確認でき、かなり気分が良かった。

明衣はライブパフォーマンスが出来るほどギターを弾きこなしていないが、時々自分に送られる声援に応えるように顔を上げた。

始まるまではひたすら寒さに震えていたのに、いざライブをスタートしてしまうと、独特の熱気が辺りを包み、しっとりと汗もかいてきた。

ジャカジャカとギターを掻き鳴らし、曲を終えると、観客が一斉に飛び跳ね、口々に声援を送る。

「桃子ちゃんサイコー!」

「つーかさ、ギターの子もカワイイよ。リードギターは結構上手いし」

観客たちはそれぞれ隣の人と会話をしながら、その輪を広げていく。

『すっごい暑くなってきた〜。なんか私、汗かいてきちゃったよぉ。皆も汗冷やして風邪引かないようにね!』

桃子がそう言うと、わかってるってばー、等と返ってくる。明衣はライブを観に行ったことはないが、こうして皆が一つになるって凄いな、とただ漠然と思っていた。

『ん〜、このまま突っ走っちゃうか!』

その声と共に、次の曲に移っていった。






< 285 / 313 >

この作品をシェア

pagetop