a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
大方片付けも終わり、祭りの影も無くなってきた頃、明衣は五月女に近付き、こそっと耳元に話し掛けた。
「アンタ、蘭先輩とどうなのよ?花火の間ずっと暗かったじゃん、何か…進展してないわけ?」
すると、五月女は顔を真っ赤にして、あからさまに狼狽えた。
「し、ししし進展って…!!な、何もないよ……。ただ隣で、二人で花火観てただけで…」
「はぁ!?バッカじゃないのアンタ!!何でこのチャンスを活かさないのよ!?花火を観ながらロマンチックになったところで告白とか、あわよくばちゅーとか……」
「ち、ちゅー!!!?」
一気に畳み掛けるように言えば、五月女は声を裏返しながら飛び退く。
不自然な二人に、本郷は首を傾げる。
「どうしたの?」
「なんでもないんです!」
必死の五月女に、本郷は更に不思議そうな顔をしたが、遠くで三人を呼ぶ声がした。
「ねぇねぇ、三人ともぉ、こっち来てみぃ!」
その声は、今日、夜空に色とりどりの花を咲かせた空のものだった。