a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
「何その指」
「……ちょっとね…」
五月女の人差し指には真新しい水色の絆創膏が貼られており、そのガーゼ部分に若干血が滲んでいることから、かなり思い切り突き刺してしまったのだろうと思う。
丁寧に貼られた人差し指の絆創膏を見ながら、五月女はふにゃりと顔を緩ませてしまう。
この指先には先程まで本郷の手が触れていたのだから。
明衣は目ざとくそれに気が付き、にやりと笑った。
「アンタ、それ本郷先輩に貼ってもらったんでしょぉ〜?」
「えっ!?何でわかっ…あ…」
五月女はしまった、といった表情をして、みるみる顔を紅潮させていく。明衣は悪戯が成功した子供のように笑い、続ける。
「バレバレ。にやけすぎなのよアンタ。だっらしない顔しちゃってさ〜あ」
「う、うるさいなぁ!」
二人がそんな会話をしていると、卒業式に向けての在校生入場の指示を呼び掛ける放送が流れた。
卒業式が、始まる。